ADHD やアスペルガーなどの発達障害の方は ワーキングメモリー が弱いといわれています。
同時に複数の作業(マルチタスク)をこなすことも苦手なようですが、日常の会話でもワーキングメモリーの弱さがあらわれます。
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ADHD・ASDなぜワーキングメモリーが弱いと会話が困難なのか?
ADHD・アスペルガーとの会話
ADHDやアスペルガーの方と話をしていると、次第に話が噛みあわなくなることがあるかと思います。また、直前に話していたことをまったく覚えていない、ということもあります。
これは、大人の発達障害の方にもみられる傾向ですが、今回は子供の発達障害を例にあげ、ご紹介いたします。
アスペルガー:話しが噛みあわない
ADHDやアスペルガーの子供と話をしていると話しが脱線したり、会話が噛みあわなくなることがあります。
それは、アスペルガーのお子さんの場合は、はじめから話の内容の理解の仕方が違ったにも関わらず会話をすすめてしまったた結果、後に会話にズレが生じてしまったということです。
または、話している会話の流れよりも、途中の単語が気になる、もしくは別のパターンが気になり、質問をくり返すことにより、話の本質から会話がズレてしまうということも考えられます。
わかりやすい例えですと、「電車に乗って動物園へ行ってはじめてパンダを見た。」と、いう話がしたくても、はじめてパンダを見た話しではなく、どの電車に乗ったのか、何時何分の電車に乗ったのか、どこで乗り換えたのか、バスで行く場合にはどのような方法があるのか、そういう自分の気になる質問ばかりをしてしまい、パンダを見たという部分には注目しません。
ですので、会話の本質からズレてしまい、話し手は自分が何の話をしていたのかわからなくなってしまいます。
ADHD:話が噛みあわない
アスペルガーの子供のばあい、会話の着目点が違うということも会話が噛みあわなくなる原因ですが、ADHDのお子さんのばあいは話しが最後まで聞けず早とちりをする場合もあります。
途中から会話に興味がなくなってしまった、はじめから興味のない話題であった、集中力が持続できず話題に飽きてしまった、ということも会話が噛みあわなくなる原因です。
ですが、それらの原因とは別にワーキングメモリーの問題があります。
ワーキングメモリーが弱いと?
ワーキングメモリーとは短期記憶と呼ばれ、一定時間記憶を保持する力のことをあらわします。
発達障害の子供は、長期記憶には優れていますが、短期記憶にはあまり優れていません。
簡単に説明すると、長期記憶がハードディスクにあたるものです。短期記憶がメモリーにあたるものです。
コンピューターの場合なら、メモリーにたくわえた情報をハードディスクに保存しなければなりません。
もし、ハードディスクに保存せず、コンピューターの電源を切ってしまえばメモリーに残された情報はすべて消えてしまいます。
ADHDなどの発達障害の子供は、このメモリーの部分が弱いのです。
ですので、直前の話しを覚えていない、話しの理解ができないということが起きてしまいます。
- 話したこと、発言したことを覚えていない
- 記憶が実際とは違う
- 現在と過去の話しがわからない
- たとえ話がわからない
- オチのある話しがわからない
- 皮肉や嫌味がわからない
これらは会話をしている時にもあらわれる症状ですが、本を読んでいる時、テレビを観ている時にもあらわれる症状です。
「言った・言わない」問題?
ADHDなどの発達障害の子供と話しをしていると、「言った・言わない」で喧嘩になることがあると思います。
もしくは、実際の内容と記憶が違っていることもあるかと思います。
これらは、「嘘つき」と呼ばれる原因にもなるのですが、実際は嘘をついているわけではなく短期記憶の問題です。
その部分の記憶が欠落している、もしくは記憶の改ざんや混同が脳内で起こっているのです。
ですので、すこし前の記憶がないため話を覚えていない、実際の内容と記憶している内容が違うということが起きます。
忘れ物が多い、物忘れが激しいということも短期記憶が弱いため起きてしまいます。
たとえ話や嫌味がわからない
ADHDなどの発達障害の子供と話をしたり、本の読み聞かせをしていると気が付くのですが、発達障害の子供はたとえ話や嫌味やオチといものがわかりません。
例えばなしがどう本文につながるのか、例えばなしが本文と何の関係があるのか読み取ることもできませんし、本文の最後がオチや嫌味で結末されている場合は、本文の流れからどうしてそうなったのか理解できません。
これらも、短期記憶が弱いため直前の物語を整理し、どうつながっているのか理解する力が弱いためだと考えられます。
お話の続きは気になり読み聞かせはしっかり聞いているのですが、直前までのお話の流れをあまり覚えていられないということに原因があります。
何度もお話を読むとつながりは理解できるようになりますし、要約して説明をすると理解できるのですが、実際の会話では何度も同じ会話をくり返すことはできませんので理解が困難になります。
時制のちがいがわからない
会話のなかで現在の話をしているのに、「昔もこういうことがあった」と、いうような過去の話しを持ち出すと、現在の話しと過去の話しに何の関係があるのかわかりません。
また、本や映画のなかでも「現在」「過去」「未来」と時制が頻繁に移動するお話しですと、まったく理解できなくなってしまいます。
もちろん、「過去」→「現在」→「未来」と順番にお話がすすむのなら理解ができるのですが、「現在」から「過去へ」、そしてまた「現在」に戻るようなお話しですと、意味がわからず混乱してしまいます。
こちらもワーキングメモリー(短期記憶)が弱いため、記憶をとどめておくことができず、時制を整理して考えることも苦手なため、理解が難しくなってしまうと考えることができます。
なぜ会話が通じないのか
このようにワーキングメモリー(短期記憶)が弱く、思い込みの激しさやこだわりの強さがあるため、話をしていると会話にズレを感じてしまい定型発達の方のほうが混乱してしまうこともあります。
もしくは、発達障害の子供が嘘をついているように感じてしまうこともあります。
ADHDや発達障害の子供の場合なら、どの時点から誤解がうまれているのか紐解き、もう一度確認をしながら説明をすることで、誤った解釈を正すことができます。
むやみに叱っても治るものではありませんので、執拗な注意はやめましょう。
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まとめ
ADHD・ASDなぜワーキングメモリーが弱いと会話が困難なのか?
ADHD・アスペルガーとの会話
アスペルガー:話しが噛みあわない
ADHD:話が噛みあわない
ワーキングメモリーが弱いと?
「言った・言わない」問題?
たとえ話や嫌味がわからない
時制のちがいがわからない
なぜ会話が通じないのか